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映画『楓』試写会レポ|あの名曲が“物語”になったとき、胸に残るのは「どんな形も愛」だった

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銀座ダイヤモンドシライシ 楓

    スピッツの名曲『楓』を原案に、行定勲監督が新たなラブストーリーとして編み上げた映画『楓』。試写会で観終えたあと、まず残ったのは「切なさ」以上に、言葉にできない感情の“ひっかかり”でした。好きだからこそ言えない、守りたいからこそ隠してしまう——その「言えなさ」が、痛いほど静かに胸を締めつけてくる作品です。

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    1、あらすじ

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    引用:映画『楓』公式HP

    物語の中心にいるのは、須永恵(福士蒼汰)と恋人の木下亜子(福原遥)。天文の本や望遠鏡に囲まれた生活を送るふたりですが、ある朝の違和感から状況が反転します。実は彼は、双子の弟の“フリ”をしている兄・須永涼。1か月前、ニュージーランドで事故に遭い弟の恵は亡くなっており、混乱した亜子は目の前の涼を恵だと思い込んでしまう…

    涼は真実を告げられないまま、亜子のそばにいることを選びます。

    幼なじみの梶野(宮沢氷魚)だけが真実を知り二人を見守っているが、周囲が【違和感】に気づきはじめ少しずつ世界が動いていくーーー。

    2、試写会で強く感じたこと:恋愛の“美しさ”より、面倒くささのリアル

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    引用:映画『楓』公式HP

    この映画は、ただ泣かせにくる作品ではありません。

    恋愛のややこしさ、人間の矛盾、見ないふりをしてしまう弱さを、丁寧に掬い上げている印象を強く感じました。

    CINRAの取材で行定監督は、恋愛(ラブストーリー)を「曖昧な感情のニュアンスを汲み取る力」が要るものだと語り、社会全体が“白黒をつけたがる”方向へ傾いていることへの息苦しさにも触れています。『楓』がこちらに差し出してくるのも、まさにその“曖昧さ”です。

    行定監督といえば、2000年に社会現象を巻き起こした『世界の中心で愛を叫ぶ』の監督をしたことで有名です。

    当時中学生でしたが映画館で号泣した記憶…今でも大好きな映画です!

    楓を観ているあいだ、何度も「わかる、でもわかりたくない」と思わされる瞬間があります。

    正しさだけでは救えない人がいて、優しさだけでは壊れてしまう関係がある。試写会という“集中して観る空間”だからこそ、その矛盾の細部が、より生々しく届きました。

    何が正解で、何が間違いなのか。ずっとその疑問に自問自答をしながらも、そこには愛があって、思いやりがあって。とにかく描写が細かくて美しいんです。

    3、『楓』という曲の“柔らかさ”と“毒”を、映画はどう受け取ったのか

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    引用:映画『楓』公式HP

    行定監督は、スピッツの世界には「柔らかさ」と「毒」が同居している、と語っています。ふわっとした幻想のあとに、泥臭い現実が差し込む——その落差が『楓』の凄さだ、と。

    たとえば歌詞の<かわるがわる>に触れながら、映画では“望遠鏡/天文”というモチーフが、ふたりの関係の核として息をし始める。

    歌の一節から物語へ、抽象から具体へ、心が移っていく感じがあるんです。しかもそれが説明臭くなく、感情の流れとして自然に立ち上がってくるのが素晴らしいのです。

    また、そのスピッツの柔らかさと毒という難しいニュアンスを俳優の福士蒼汰さんと福原遥さんが役の格まで落とし込み表現している…だからこそ感じる感情というものがありました。

    ご覧になる際は恵は左利き、涼は右利きという点に着目してください。福士さんの演技が凄すぎます。

    4、7年越しの企画が“いま”届く理由

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    作品について語る行定監督

    この映画は企画から完成まで7年かかったとも語られていて、行定監督自身は途中参加だったこと、コロナ禍も重なって難航したこと、そして「スピッツの曲を映画にする」プレッシャーの大きさが率直に語られています。だからこそ、『楓』は“名曲の映画化”というより、名曲に対する「映画としての真摯なアンサー」を目指した作品として、こちらに届いてくる。

    5、銀座ダイヤモンドシライシのブランドムービーは全て行定監督の作品

    行定監督は、銀座ダイヤモンドシライシのブランドムービーを10年に渡り手掛けています。

    試写会の日は、最新作についても語っていました。

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    行定監督『コロナもあって結婚式しなくてもいいや、指輪もいいやというカップルが増えている。でも、この作品の男性は「これでいいんだっけ?」と立ち止まり、女性にダイヤモンドを贈る。女性の方も別にいらなかったんだけど、男性からの気持ち(ダイヤモンド)をもらうと、欲しくなくてもやっぱり嬉しい。

    ダイヤモンドはカットが施されていて、輝きを生む。その輝きがキラキラと反射して、その輝きの数だけ人々の日常があって彩られていくというのを映像にしました。』

    その言葉に感動して涙がでました。。。
    ダイヤモンドの数だけ、ドラマがある。人の心がある。人の人生を彩っていく。
    あらためて感じた瞬間でした。

    まとめ:観終わったあと、たぶんあなたは「楓」を聴き直したくなる

    『楓』は、喪失と再生の物語でありながら、同時に「曖昧さ」や「遠慮」を抱えたまま生きる私たちの映画でもあります。

    行定監督も、楓を次見たときまた違う感情になると仰っていました。登場するキャラクターたちがそれぞれの想いを抱えていて、丁寧に描写されているので最初は物語の内容を。

    そして2回目は登場人物に着目するーーー何度も楽しめる映画となっています。

    楓は12月19日に公開となっております。ぜひ冬休みや仕事終わりに映画館に足を運んでみてはいかがでしょうか?

    映画『楓』
    2025年12月19日(金)より全国公開

    出演:福士蒼汰 福原遥
    宮沢氷魚 石井杏奈 宮近海斗
    大塚寧々 加藤雅也
    監督:行定勲
    脚本:髙橋泉
    原案・主題歌:スピッツ『楓』(Polydor Records)
    音楽:#Yaffle
    プロデューサー:井手陽子 八尾香澄
    製作:映画『楓』製作委員会
    制作プロダクション:アスミック・エース C&Iエンタテインメント
    配給:東映 アスミック・エース
    Ⓒ2025 映画『楓』製作委員会

    公式サイト:https://kaede-movie.asmik-ace.co.jp
    公式X:@kaede_movie1219
    公式Instagram:@kaede_movie1219
    公式TikTok:@kaede_movie1219

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