現在、体外受精で生まれる子供は16人に1人と言われています。晩婚化などの社会的背景ににより、不妊治療を受けるカップルが増え続けているのが現状です。不妊治療が身近なものになった一方で、今も変わらないのが不妊治療の費用。不妊治療は保険適用外であるため、治療費は高額になります。では一体、不妊治療は何にいくらかかるのでしょうか。
そこで今回は、不妊治療経験者の筆者が、不妊治療のリアルな費用を解説いたします。国や市区町村が運営する不妊治療助成金事業についてもご紹介いたします。
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目次
1、不妊治療とは?
不妊治療とは、妊娠・出産を希望しているにも関わらず一定期間、妊娠の兆しがないカップルに対して行われる治療のことです。まず最初に不妊の原因を調べ、それぞれの原因に応じた治療を行います。
具体的な治療法には、タイミング療法、人工授精、体外受精、顕微授精があり、少しずつ高度な治療にステップアップしていくことになりますが、不妊の原因が分からない場合が多く、年齢なども考慮して、最初から体外受精に進むケースも少なくありません。
2、不妊治療、治療法と治療別費用
不妊治療の具体的な治療法と、それにかかる費用を解説します。
(1)不妊治療を始める前の検査
最初に婦人科を訪れた際に行われる検査があり、どんな治療をするかによって変わります。
体外受精を専門に行うクリニックの場合、ホルモン検査、超音波検査、感染症検査、精液検査、精子不動化抗体検査などをはじめ、一通りの検査を行う場合、3万円~5万円程度となります。
次に、タイミング療法や人工授精を専門に行うクリニックの場合、不妊の原因を探る検査を行います。一般的な検査として、上記で挙げた検査のほか、フーナ―テスト、子宮卵管造影剤、腹腔鏡検査などを必要に応じて行います。各検査の費用は、5,000円~10,000円程です。
(2)タイミング療法
不妊治療で、まず最初のステップとして行われるのがタイミング療法で、「最も妊娠しやすいタイミングに性交渉を行う」方法です。基礎体温や超音波検査、尿検査などを参考にしながら排卵日を予測し、効果的な性交渉のタイミングをアドバイスします。
保険適用の範囲内であれば、費用は1回2,000~3,000円程度です。ただし、保険適用外の排卵日を予測するための超音波検査や排卵を促すための排卵誘発剤を処方される場合もあるため、1万円〜2万円程度かかる場合もあります。
(3)人工授精
人工授精は、濃縮した精子を女性の子宮に注入する治療です。自然妊娠に近い方法で、女性の心身への負担も軽いく、体外受精の前に行う初期段階の治療に位置づけられています。
費用は2万円~3万円程度。このほか、 1周期の治療に3~4回の通院が必要になるため、超音波検査や採血代でさらに1万円~2万円程度かかります。
(4)体外受精・顕微受精・移植
体外受精・顕微授精・移植の治療費は、
- 体外受精と移植(採卵、受精卵培養、胚移植):30万円~40万円程度
- 顕微受精卵と移植:35万円~45万円程度
- 受精卵を胚盤胞まで培養、凍結卵を移植:45万円~55万円程度
この他、毎回の通院で行われる超音波検査、血液検査、治療によっては排卵誘発剤などの投薬代などもあり、1周期の治療費は、50~70万円程度になります。
3、不妊治療費はいくらかかった?!筆者の経験
不妊治療は自由診療のため、治療費はクリニックによって様々です。
筆者の経験からお話すると、東京にある複数のクリニックに通いましたが、治療費はこちら。
- 採卵から胚盤胞凍結まで:30万円~60万円程
- 凍結卵移植:10万円~15万円程
このほかに投薬や毎回の診察なども合わせると、1回の採卵から移植まで50万円~80万円程になります(筆者の場合、採卵から移植までスムーズに治療が進むことは滅多になかったため、ひたすら採卵する時期が続きました)。
クリニックによっては、体外受精の治療費に成功報酬制を設けているところもあります。この成功報酬制も、最初の2回だけだったり、4回目以降だったりとクリニックによって違います。
たとえば、筆者が最後に通ったクリニックでは、
- 最初の3回は通常料金:採卵 約55万円
- 4回目以降は成功報酬制:採卵 約33万円+妊娠した際の成功報酬 約22万円
と、このような料金体系でした。
体外受精は体への負担も大きく、通院回数も多いため、精神的負担も大きくなります。治療が長引けば、経済的負担も大きく、心が折れてしまうこともあります。体への負担、経済的負担、成功率などさまざまな角度から総合的に考えて、夫婦ふたりで話し合って、決めることが大切なのだと思います。
4、不妊治療の助成金、どれくらい戻ってくるの?!
高額な不妊治療費に対して、都道府県や市区町村では、治療費の一定額を負担する助成金制度があります。
(1)都道府県の助成金制度
現在、政府は2022年度から不妊治療の保険適用が検討されていますが、保険適用前の支援を強化するため、2021年1月より、不妊治療への助成が拡充されました。
具体的には、2回目以降の治療に対する助成金の上限額を15万円から30万円に倍増し、回数も「通算で6回」から「1子あたり6回」に増やし、所得制限も撤廃しました。
拡充前 | 拡充後 | |
所得制限 | 730万円未満(夫婦合算の所得) | 撤廃 |
助成額 | 1回15万円(初回のみ30万円) | 1回30万円 |
助成回数 | 生涯で通算6回まで (40歳以上43歳未満は3回) | 1子ごと 6回まで (40歳以上43歳未は3回) |
対象年齢 | 妻の年齢が43歳未満 | 変更せず |
参考:東京都福祉保健局
申請方法は、お住まいの都道府県・指定都市・中核市にお問い合わせください。
(2)市区町村の不妊治療助成金制度
国の不妊治療助成金制度のほか、市区町村で独自に不妊治療費の助成制度を実施しているところもあります。
ここでは、東京都中央区・港区を例にご紹介いたします。
中央区:不妊治療にかかった医療費から、東京都で承認決定された助成額を差し引いた実費額のうち、1年度あたり10万円を限度に、最大で通算5年度助成。
港区:不妊治療にかかった医療費から、東京都で承認決定された助成額を差し引いた実費額のうち、1年度あたり30万円を限度に、最大で通算6年度助成。
※助成対象者などの詳細は、各自治体のホームページでご確認ください。
このようにも区によっても助成額や期間が違いますし、東京都内でも不妊治療助成金制度がない区や市があります。まずは、お住いの市区町村に助成制度があるか確認してみましょう。
5、医療費控除で治療費の一部が還付も
医療控除とは、年間の医療費が10万円を超えた場合、所得税、住民税の負担が軽減され、手元にお金の一部が戻ってくる制度です。保険金や上記、3(1)、(2)の助成金等を差し引いた年間10万円を超える実際に支払った医療費が対象となります。この医療費には、不妊治療以外でかかった医療費や薬代も含まれます。
還付金は所得税率に合わせて決まり、還付は確定申告書を提出して行います。
詳細はこちらをご覧ください。
6、不妊治療の保険適用が始まります!
2022年度から、人工授精は保険適用治療が決まり、現在、回数に上限を設ける方向で検討しているようです。
また2021年7月からは、体外受精や人工授精の保険適用に向けても、議論がなされています。不妊治療中やこれから治療を始める方にとっては、朗報です。今後の発表を待ちたいですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は不妊治療にかかるリアルな費用を解説するとともに、不妊治療助成金制度についてご紹介いたしました。
不妊治療は1回で成功する方は少なく、治療が長期化するケースも多いため、金銭的な負担は大きなものです。まだまだ十分ではありませんが、不妊治療費に対する助成金制度が拡充されつつあり、不妊治療を考えているカップルにとっては、治療を始める後押しになるかもしれません。是非、都道府県や各市町村の助成金制度についても確認してみてくださいね。
長い不妊治療を経験した者として、精神的負担も経済的負担も大きい不妊治療が1日も早く保険適用されることを願うばかりです。
今回の記事が皆様のお役に立ちましたら幸いです。
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