妊娠するとお腹の赤ちゃんが元気に育ってくれているか心配になりますよね。生まれてくる赤ちゃんの3~5%は何らかの病気を持っていると言われており、その病気は軽いものから重篤なものまでさまざま。
通常の妊婦検診では気づくことができない赤ちゃんの発育や異常を安全に見つけることができる出生前診断は、高齢出産の妊婦さんを中心に、希望者が増えています。
そこで今回は、
- 出生前診断とは
- 出生前診断の種類
- 新型出生前診断ってどんな検査?!
- 新型出生前診断のメリット・デメリット
- 出生前診断の費用
これらについて解説いたします。
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目次
1、出生前診断の種類
出生前診断とは、生まれてくる赤ちゃんが先天的な病気や異常を持っているかを調べる検査のこと。検査を行い赤ちゃんの状態を知ることで、妊婦さんや赤ちゃんの体を守り、それぞれの状況にあった分娩方法を検討したり、療育環境を準備していくために行われます。
現在、出生前診断として行われている検査は下記6つです。
非確定検査 | 確定検査 | |||||
検査名 | 精密超音波検査 | 新型出生前診断(NIPT) | 母体血清マーカー検査 | コンバイド検査 | 絨毛検査 | 羊水検査 |
実施時期 | 11~30週 | 10週~15週 | 15~18週 | 11~13週 | 11~14週 | 15~16週 |
方法 | 母体の腹部に機械をあてる | 採血 | 採血 | 超音波検査・採血 | ママのお腹に針を刺して赤ちゃんの血液を採取または、膣から採取 | ママのお腹に針を刺して羊水を採取 |
対象疾患 | 各臓器の形態、動き、数、大きさの異常 | ダウン症候群・18トリミソー・13トリミソー | ダウン症候群・18トリミソー・13トリミソー | ダウン症候群・18トリミソー | 染色体疾患全般 | 染色体疾患全般 |
感度 | N/A | 99% | 80% | 83% | 100% | 100% |
結果が出るまでの期間 | 当日 | 1~2週間 | 2週間程度 | 2週間程度 | 2~3週間 | 2~3週間 |
安全性 | 安全 | 流産・死産のリスク1/100 | 流産・死産のリスク1/300 | |||
費用(目安) | 1~5万円 | 20万円前後 | 2~3万円 | 3~4万円 | 10~20万円 | 10~20万円 |
この記事では、新型出生前診断(NIPT)について詳しく見ていきます。
2、新型出生前診断ってどんな検査?
(1)新型出生前診断は、どこで受けられるの?
新型出生前診断は2013年に臨床研究として導入されてから、日本産婦人科学会の指針に沿って運用しています。
検査実施機関は、臨床遺伝専門医、小児科医、産婦人科医師などによる遺伝カウンセリングができるなど体制が整っており、十分に遺伝的な知識を妊婦さんに提供できると認定された「認可施設」と、日本産婦人科学会の認定を受けていない「認定外施設」があります。
新型出生前診断が導入された当初は限られた病院でしか検査をすることができませんでしたが、現在は、クリニックや検査を行う専門施設などでも受けられるようになりました。
(2)新型出生前診断を受けられる妊婦さんは?
日本産婦人科学会の指針によると
- 夫婦のいずれかが、染色体異常の保因者である場合
- 染色体異常症に罹患した子供を妊娠・分娩したことがある場合
- 高齢妊娠の場合(35歳以上)
- その他、胎児に重篤な疾患に罹患する可能性がある場合
上記いずれかに該当する場合とされています。
ただし、上記いずれかのに該当していない場合でも、検査することができる病院・施設(認定外施設)もあります。
(3)新型出生前診断で分かること
新型出生前診断で分かる染色体疾患は
- 21番トリミソー(ダウン症候群)
- 18番トリミソー(エドワーズ症候群)
- 13番トリミソー(パトウ症候群)
認定施設では、上記3つの染色体疾患について検査が行われています。
この他、認定外施設では、
- 21,18,13番以外のトリミソー・モノソミー
- 性染色体異常
- 全常染色体全領域部分欠失・重複
上記項目についてもオプションで検査を受けることができる施設もあります。
(4)新型出生前診断、検査の流れ
認可施設で新型出生前診断を受ける場合、妊婦検診で通っている病院やクリニックから紹介・予約をしてもらい、来院します。夫婦でのカウンセリング、採血検査、結果説明時と、多いところでは3回来院する必要があります。
一方、認可外施設では、予約がなくても当日検査ができるところもあります。また、カウンセリングはオプションもしくは、行っていない施設が多く、必ず受ける必要がないことも認可施設とは異なる点です。
3、新型出生前診断のメリット
(1)赤ちゃんへのリスクがない
ひと昔前は、出生前診断といえば、妊婦さんのお腹に針を刺して羊水を採って調べる「羊水検査」、胎盤の絨毛組織を採取して調べる「絨毛検査」や赤ちゃんから直接、血液を採って調べる「胎児血液検査」などで、危険を伴うため、流産のリスクがありました。新型出生前診断は、妊婦さんの腕から採血で検査ができるため、流産のリスクがなく安全な検査と言えます。赤ちゃんにも妊婦さんにも負担なく検査が行えるというのは最大のメリットですね。
(2)妊娠早期に検査できる
感度の高い出生前検査を行う場合、これまでは妊娠15週以降でした。新型出生前検査は妊娠10週0日目から受けることが可能なため、赤ちゃんの状態を早く知ることができます。
早く検査ができるということは、早く不安を解消できるというメリットがありますね。
また、万が一、お腹の中の赤ちゃんの病気が分かった場合、生まれてからの治療やサポートを事前に準備することができます。また、妊娠中に治療が可能であれば、治療を開始することも可能です。
(3)検査の感度が高い
新型出生前診断は、染色体異常検査において、現在もっとも精度の高い検査と考えれています。これまでの非確定的検査の感度(陽性検出率)を見てみると
- コンバインド検査 80%
- 母体血清マーカー 83%
と感度にやや欠けます。さらに陽性的中立が5%以下であること、陽性に関してだけでなく陰性に対しても精度が劣ることから、陽性を見逃してしまうリスクがあり、結局はリスクや痛みを伴う確定診断検査を受けるまで確実な結果を知ることができませんでした。
しかし、新型出生前診断は
- 感度(陽性検出率) 99%
- 特異性(陰性検出率) 99%
- 陰性的中率 99%
とほぼ100%に近い数値であることから、不要な痛みやリスクのある検査を受けなくても高精度な結果が得られるというメリットがあります。
4、新型出生前診断のデメリット
(1)費用が高い
新型出生前診断は保険適用外のため、すべて自費となります。検査機関によって費用のばらつきはありますが、おおよそ20万円前後と決して安いとはいえません。また、検査前のカウンセリング料を別途設けているところもあります。
検査自体は採血のみで体への負担が少ない一方、費用を考えると簡単に捻出できる金額ではないというのはデメリットのひとつです。
(2)新型出生前診断の対象者が限定される
新型出生前診断は、すべての妊婦さんが受けられるというわけではありません。前述した通り、日本産婦人科学会の指針によると、35歳以上や夫婦のいずれかが染色体異常の保因者である場合などの条件があります。妊婦検診に通っている病院が新型出生前診断を行う認定施設であったとしても、条件に当てはまらなければ、検査を受けることができません。
ただし、35歳未満でその他の条件に当てはまらない場合は、自分で認可外施設を探して検査を受けることは可能です。
(3)知ることでかえって悩みが増える
万が一お腹の赤ちゃんに染色体疾患などが見つかった場合、どう対応すべきか混乱してしまうかもしれません。特にママを苦しめるのは、産むか産まないかの決断です。それも短い期間の間に結論を出さ根ければなりません。
検査を受ける前に、検査ではどのような疾患が分かるのか、疾患のある子どもを育てるためには何が必要なのかなどを十分に理解し、もし陽性の結果が出た場合、どんな決断を下すのか事前に決めておくことをおすすめします。
3、新型出生前診断の費用
都内の病院や施設での費用を一例に挙げますと、
【認定施設】
- 東京慈恵会医科大学付属病院 198,000円
- 慶応義塾大学病院 180,500円
【認定外施設】
- ヒロクリニック 77,000~264,000円(料金は検査項目による)
- NIPT Japan 198,000円
新型出生前診断の費用は、20万円前後です。
この費用には、検査前のカウンセリング費用が別途かかるところ、羊水検査になった場合の追加費用が含まれるところなどさまざまです。費用だけで決めるのではなく、費用に含まれる内容をしっかり確認して検討することをおすすめします。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は新型出生前診断を中心に、出生前診断の種類や詳細、費用についてご紹介いたしました。
お腹の中の赤ちゃんに染色体異常がないことを安全に検査できる出生前診断は、ママにとって大きな安心材料になります。夫婦二人でよく話合って、検査を受けるかどうか、どんな検査をどこで受けるか検討してくださいね。
今回の記事が皆様のお役に立ちましたら幸いです。
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