
婚約指輪や結婚指輪に輝くダイヤモンドが、実は「血塗られたダイヤモンド」と呼ばれるものだったとしたらあなたはどう思いますか?
紛争を長引かせる原因となる紛争ダイヤモンド(コンフリクトダイヤモンド)は、別名ブラッドダイヤモンドとも呼ばれており、社会的にも非常に問題となっています。そんなダイヤモンドが使用された婚約指輪・結婚指輪をつけることに抵抗を持たれる方もいるのではないでしょうか。
大切な婚約指輪・結婚指輪だからこそ、ダイヤモンドの背景にも目を向けてみませんか?
今回は、紛争ダイヤモンド(コンフリクトダイヤモンド)とは何か、問題点は何かなどを挙げつつ、確実に「コンフリクトフリーダイヤモンド(紛争とは無縁のダイヤモンド)」を手に入れる方法について解説します。
\来店予約するとこんなにお得!/
目次
1、紛争ダイヤモンド(コンフリクトダイヤモンド)とは?
(1)別名「ブラッド・ダイヤモンド(血のダイヤモンド)」とも呼ばれる存在
「紛争ダイヤモンド(コンフリクトダイヤモンド)」とは、アフリカなどの紛争地域で採掘され、その収益が武器購入や反政府勢力の資金源となるダイヤモンドのことです。
→ 詳しい定義や歴史的背景については紛争ダイヤモンドとは?―幸せな結婚生活を送るために知っておきたい「ヴァージン・ダイヤモンド」でも詳しく解説しています。
別名「ブラッド・ダイヤモンド(血のダイヤモンド)」とも呼ばれ、その美しさの裏に深刻な人権侵害や児童労働の実態が隠されています。
(2)シエラレオネなどでのダイヤモンド紛争の実態
特に有名なのが「シエラレオネ ダイヤモンド紛争」です。1990年代、シエラレオネ内戦では反政府組織がダイヤモンドを資金源とし、多くの市民が犠牲となりました。
このように、ダイヤモンドが戦争や暴力の資金源となる構図は、今なお一部地域で続いています。
(3)紛争ダイヤモンドがもたらす問題点
- 劣悪な労働環境や児童労働
- 武装勢力による資金調達
- ジュエリー業界全体への信頼低下
背景を知らないまま購入することで、知らず知らずのうちに紛争に加担してしまう恐れがあります。
2、紛争ダイヤモンド現在の事情
ダイヤモンドは金属鉱物と同様に「紛争鉱物(コンフリクト・ミネラル)」として分類されることがあります。
他にも金・タンタル・錫・タングステンなども同様に、紛争地域で採掘されているケースがあるようです。
以前に比べ、紛争ダイヤモンドの流通量は減少していますが、密輸や産地偽装などの問題が完全になくなったわけではありません。
今でも「ダイヤモンド 紛争」「ダイヤモンド 紛争 現在」という検索が多く寄せられているように、関心が続いています。

3、紛争ダイヤモンドの対策と課題|キンバリー・プロセスへの参加
「キンバリー・プロセス証明制度」とは、紛争地域から産出されたダイヤモンドの原石の輸出入を阻止するために、2003年に施行された国際認証制度です。
キンバリー・プロセスに参加している国は、原産地証明がないダイヤモンド原石の取引は禁止されます。
キンバリー・プロセスが施行されたことで、2000年は紛争ダイヤモンドが4%ありましたが、最近では1%以下まで減ってきているそうです。
(1)日本はキンバリー・プロセスに参加している
日本はこのキンバリー・プロセスに参加しているため、原石の段階で不正なルートのダイヤモンドを遮断する体制が整っています。日本で購入できるダイヤモンドは「コンフリクトフリーダイヤモンド(紛争とは無縁のダイヤモンド)」と言えます。
しかし、キンバリー・プロセスも完璧ではないため、100%コンフリクトフリーダイヤモンドを手に入れられるという保証はないと言えます。
日本国内のダイヤモンド流通においては、表向き「紛争ダイヤモンド 日本 対策」が講じられている状態といえるでしょう。
(2)私たち消費者ができること
- 産地や流通経路を明記しているブランドを選ぶ
- ブランド公式サイトの調達方針をチェック
- 不安がある場合は販売員に質問する
このように、小さな一歩が、より倫理的な選択につながるのではないでしょうか。
(3)制度・業界の取り組み強化について
- トレーサビリティ技術の導入
- ブロックチェーンを活用した流通記録
- NGOとの連携による監視強化
こうした取り組みは、よりクリーンな市場づくりの鍵を握っています。
4、キンバリー・プロセスの問題点
(1)「ダイヤモンドルース」には適用されない
キンバリー・プロセスはとダイヤモンド「原石」のみの認証制度です。
つまり、カットされている「ダイヤモンドルース」には適用されません。
ダイヤモンドルースの場合、「システム・オブ・ワランティ」という制度が当てはまります。
システム・オブ・ワランティは自主規制ではありますが、カットされたダイヤモンドを輸出する際に、紛争とは関係ないダイヤモンドであることの宣誓文を記載した「インボイス(納品書)」が付属されます。
ただし、キンバリー・プロセスやシステム・オブ・ワランティはどちらも輸出入の書類であるため消費者には知られていないのが現状です。
(2)キンバリー・プロセスには強制力も罰則がない
また、キンバリー・プロセスには強制力も罰則もありません。
加盟国が自主的に運用するので、違法採掘を取り締まることができない国もあります。
違法採掘されたダイヤモンド原石は非公式なルートで密輸されるのですが、ダイヤモンドが消費者の手に渡るまでに多くの業者を経由するため、その間に違法採掘されたダイヤモンドが紛れ込んでいても不思議ではないのです。
他にも違法採掘とは違いますが、児童労働の問題にはキンバリー・プロセスは役立たないという問題もあります。
ダイヤモンド鉱山や研磨工場で、児童が安い賃金しか支払われず労働搾取されている国が実際にあるのです。
児童たちは学校にも行けずに働き続けなくてはなりません。
5、コンフリクトフリーダイヤモンドを選ぶための判断基準
キンバリー・プロセスに問題があるとなると、どうすればクリーンなダイヤモンドを選ぶことができるでしょうか。
判断するための基準をご紹介します。
(1)フェアトレードやエシカルの意識が強いブランドから買う
フェアトレードとは、途上国の商品を適正価格で継続購入することです。
フェアトレードが行われることで、労働者の生活改善に繋がります。
エシカルとは「道徳的」「倫理的」という意味の言葉で、エシカルダイヤモンドは「人・社会・自然に配慮して採掘され、紛争に関わらないダイヤモンド」のことを言います。
エシカル意識が強いブランドは、どこの鉱山で産出されたのかやどこの研磨工場でカットされたのかも把握しているため、安心して購入することができます。
(2)アフリカ以外のダイヤモンドを選ぶ
ダイヤモンドで有名なのはアフリカだけではありません。
産出国ランキングではロシアやオーストラリアなども上位にありますので、アフリカ以外で産出されたダイヤモンドを扱うブランドもあります。
アフリカ以外の産地証明があるダイヤモンドであれば、紛争ダイヤモンドではないと言ってしまっても問題ありません。
6、コンフリクトフリーダイヤモンドを扱うブランド8選
過去には一部ブランドが、紛争地との関係が取りざたされることもありましたが、近年では多くの企業がエシカルな調達方針を打ち出し、改善を進めているようです。
ここでは、確実にクリーンなダイヤモンドを手に入れるために選びたいおすすめのブランドをご紹介します。
(1)エクセルコダイヤモンド
出典:https://www.exelco.com/journey/
優れた質の原石を優先的に選別する権利を有する者として定期的に仕入れたダイヤモンドの原石の中から、日本のエクセルコ ダイヤモンドのために高品質な原石を厳選し、カット・研磨しています。
日本のエクセルコ ダイヤモンドでは宝石用の原石の数%にも満たない、ごく稀少な高品質の原石だけを揃えています。
「アイディアルラウンドブリリアントカット」の至高の輝きは、こうした最上の原石選びからはじまります。
また、良い原石を選ぶには20 年以上の経験がないと難しく、世界でもエクセルコ率いるジャン・ポールを含めごくわずかしかいません。
そのため、紛争ダイヤモンドが紛れ込む余地がありません。
また、ダイヤモンドが原石の状態からカットされるまでを知ることができる「ダイヤモンドジャーニー」を導入しており、どこの鉱山で産出されたのかもはっきりと知ることが可能です。
公式HP
(2)BRILLIANCE+
出典:https://www.brilliance.co.jp
BRILLIANCE+のダイヤモンド仕入れ先はキンバリー・プロセスに参加している国に限っています。
また、紛争とは関係のない地域のダイヤモンドのみを取り扱っていることをホームページに記載しています。
公式HP
(3)BRIDGE銀座アントワープブリリアントギャラリー
出典:https://bridge-antwerp.com/faq/faq_12348.html
ブリッジ銀座では、ダイヤモンドに「キンバリー・プロセスを尊守したダイヤモンドである」という証明書が添付されます。
また、ブリッジ銀座のダイヤモンドはエシカルなダイヤモンドであることも明言していますので、クリーンなダイヤモンドと言えるでしょう。
公式HP
(4)銀座ダイヤモンドシライシ
出典:https://www.diamond-shiraishi.jp/brand_quality/diamond_buying/
銀座ダイヤモンドシライシは、ダイヤモンド世界三大市場に数えられるイスラエルに現地法人を置き、そこからダイヤモンドを仕入れています。
シライシは中間業者を省き、キンバリー・プロセスに参加し原石もダイヤモンドルースも紛争ダイヤモンドが紛れ込まない仕組みが出来上がっているイスラエルからダイヤモンドを仕入れることで、クリーンといえるダイヤモンドを取り揃えることができるのです。
公式HP
https://www.diamond-shiraishi.jp/
(5)ブルガリ
出典:https://www.bulgari.com/ja-jp/supply-chain/responsible-sourcing.html
ブルガリと取引をしているサプライヤーはすべてワールド・ダイヤモンド・カウンシル(紛争ダイヤモンドの流通を防止する組織)などの自主規制制度を通じ、キンバリー・プロセスを実施している団体に所属しているため信頼ができます。
ブルガリは2003年以降サプライヤーに対して、研磨した全てのダイヤモンドに紛争ダイヤモンドの販売を禁止することを記載した保証書を添付しなければならないことを通達。
さらに、2006年にCouncil for Responsible Jewellery Practices(CRJP)という、ダイヤモンドや金のジュエリーサプライチェーンを通して、環境パフォーマンス・人権・社会権・企業倫理に関わる責任ある行動を促すことを目的としている非営利団体に加盟しました。
ブルガリの全従業員に対しても、紛争ダイヤモンドとキンバリー・プロセスに特化したトレーニングセッションも取り入れています。
公式HP
https://www.bulgari.com/ja-jp/
(6)ティファニー
出典:https://www.tiffany.co.jp/engagement/diamond-provenance/
ティファニーでは2019年1月に、新たに調達した個別登録済みのダイヤモンドの原産地を開示することを発表。
0.18ct以上の個別登録済みのダイヤモンドに、レーザーでシリアルナンバーを刻印して追跡を可能にし、非常に厳格な責任ある資源調達を行っていることを確約しました。
原産地が不明なダイヤモンドは一切使用されないので、紛争ダイヤモンドが紛れ込むことはまずありません。
公式HP
(7)MIKIMOTO
出典:https://www.mikimoto.com/jp/quality/diamonds.html
ミキモトは日本がキンバリー・プロセスに参加した2003年から、キンバリー・プロセス・システム・オブ・ワランティを遵守し続けています。
公式HP
(8)アイプリモ
出典:https://www.iprimo.jp/smt/aboutiprimo/quality.html
アイプリモはコンフリクトフリー宣言をしており、エンゲージリングを購入すると、宣誓書を発行します。
アイプリモはいち早くコンフリクトフリーに取り組んだ企業として、人権庇護団体アムネスティインターナショナルで取り上げられました。
さらにアイプリモではロシア産のダイヤモンドを選ぶことも可能です。
公式HP
7、紛争ダイヤモンドについて学べる映画・書籍
(1)映画『ブラッド・ダイヤモンド』
レオナルド・ディカプリオ主演の映画『ブラッド・ダイヤモンド』は、シエラレオネ 紛争ダイヤモンドの実態を描いた作品として有名です。
「紛争ダイヤモンド 映画」として今も多く検索されており、関心を持つきっかけになる一本です。
(2)紛争ダイヤモンドについて学べるおすすめの書籍
- 『ブラッド・ダイヤモンドの真実』
- 『ダイヤモンドの闇』
紛争ダイヤモンド問題の構造を理解するうえで参考になるでしょう。
まとめ
日本はキンバリー・プロセスに参加しているので、紛争ダイヤモンドは日本にはないと言われていますが、紛争ダイヤモンドが紛れ込んでいても私たちには見分けがつきません。
キンバリー・プロセスも万能ではなく、さまざまな問題を抱えています。
だからこそ、確実にクリーンなダイヤモンドを手に入れるために、婚約指輪を購入するブランドを見極める必要があります。
今回ご紹介したブランドはホームページで紛争ダイヤモンドではないことを記載しているブランドばかりですので、ぜひチェックしてみてください。
・賢く婚約指輪を購入するために!来店予約をする前に読むべき6項目
・婚約指輪の相場など購入前に知っておくべき11のこと
・結婚指輪の人気ブランド最新版!国内5選&海外4選

「HOW TO MARRY」編集部です。編集部では、婚礼司会者、元結婚式場勤務など結婚に関する豊富な知識を持ったメンバーが取材・運営を担当しています。皆様の幸せな結婚生活を応援する発信を行っています。ジュエリーコーディネーター保持メンバーが発信する公式Instagram、Xは、指輪購入に迷える方から高評価。運営会社についてはこちら。
COMMENT
コメント
この記事に関するコメントはこちらからどうぞ
コメントはこちらからどうぞ